楽天、TBS株を塩漬け作戦か

楽天、TBS株を塩漬け作戦か=北浜流一郎



楽天 <4755> の三木谷社長の野望はついに、ついえ去ることになってしまった。TBSの買収が不可能となったのだ。同社は16日、臨時株主総会を開き、09年4月に認定放送持ち株会社に移行する特別決議が可決されたのだ。

 筆頭株主で20%弱を保有する楽天は最後までそれに反対したものの、賛同を得られなかった。これでTBSは、楽天に限らず、他社からの買収も不可能な企業になったことになる。認定放送持ち株会社は、特定の株主が出資できる比率が33%以下に制限される。つまり買収は出来ないということであり、買収のターゲットになる企業にとってこれ以上はない強力な防衛策になる。

 一般企業もこんな防衛策が欲しいところだろう。しかしそれは許されない。TBS側から見て幸いだったのは、同社が放送会社であったこと。公共性を理由に認定放送持ち株会社という伝家の宝刀が抜かれ、楽天はそれに切り捨てられた形だ。

 それを受けて株価はどうなるか。プラス評価されるだろう。私はこう読んでいたのだが、16日は下落、17日は一進一退の動きであり、プラス評価されているとは思えない動きだ。12月に入ってからの動きにしても、5日に56200円の高値をつけたあと下落を続け、17日現在では51400円前後での推移となっている。

 市場はTBS買収がうまく行かなくなるであろうことを予想、事前に売り基調となり、実際買収不可能が決定したあともなお失望感が残っているということだろう。

 しかし私の考えでは、買収が不可能になったことは楽天にとってプラスとなる。確かに三木谷社長はがっかりだろう。いや、がっかり以上のものがあるに違いない。しかし楽天というネット事業運営会社にとっては、社長がTBS買収に全力を傾注しているよりも、本業に戻ってくれるほうがずっと好ましい。

 TBS買収戦略は素晴らしい発想であり、成功したらこの上なかったのはもちろんだ。しかしそれは実現出来なくなった結果、楽天には減価したTBS株が残ることになってしまった。それは決して好ましいことではないのだが、前述したようにTBSの買収に必死で取り組まなくてもすむようになったこと。これが大きい。

 楽天がTBS株を今後どうするのかは分からない。保有TBS株の買取請求権を取得したため、今後TBSに買い取ってもらうことが可能だ。問題はTBSがいくらで買い取るかになり、売却する場合、当然価格をめぐって一揉めする恐れがある。

 しかし売らない選択もあるのだ。すでに塩漬けになっているTBS株である。それを今後も保有し続ければ市場環境の好転とともにTBS株も連動高する可能性は高い。それを当てにして所有し続けるのだ。

 三木谷社長はどちらを選択するのか。ここで社長に代わり、自分ならどうするかを考えてみるのは楽しい。TBSに買い取ってもらう場合、楽天の希望する価格での売却成立とならない可能性が高い。であるなら塩漬けを続け、高くなったところで市場で少しずつ売っていく。それが数年後であっても構わない。

もしくは同様に時間をかけて高くなったところで改めてTBSに買い取りを求める。その場合買取請求権の行使期限を過ぎてしまうことになるのだが、それでも構わない。三木谷社長がどんな選択するか。決断を下すのが楽しみだ。(執筆者:北浜流一郎 株式アドバイザー)
2008.12.18 Thu l 楽天 l top